2012TOP > 地域通貨「ぶんじ」メンバーズファンタジー

影山知明(かげやま・ともあき)

もともと「経済」には、「経世済民(世の中を治め、人民を救う)」
の意があったようです。

人が生きるための手段であったはずの経済が、システム化され、自律化し、巨大化し、
気がつくと「目的」にすらなってしまっている。ということは、「人」が手段化すると
いうこと?──そんな閉塞感に悩んでいるのが、今という時代であるような気がします。

昔に戻るということではなく、新しい経済を、人をいきいきとさせるもうひとつの経
済を構想できないものなのか、それがクルミドコーヒーを開業して以来の自分の問題
意識です。

一人一人が、自分の持つ可能性を多様に花開かせ、互いが互いをいかし合う。
「お金のため」ではない気持ちのこもった仕事が、互いを癒し、ときには互いを鼓舞
すらする。
そうした新しい価値の循環を支えるために、新しい通貨がある。

このページに並ぶ企画・運営チームの面々の、ぶんぶんウォークをきっかけとしたこ
の間のやり取りそのものに、「まちに新しい循環をつくり出す」ことの可能性を信じさ
せてくれる何かがありました。

地域通貨のため、ではなく、ひとつひとつの生命(いのち)のために。
みなさんもご一緒にいかがですか?

1973年、西国分寺生まれ。外資系コンサルティング会社勤務、ベンチャーキャピ
タリストを経て、2008年、生家の地に、クルミをテーマにしたこどもたちのため
の喫茶店「クルミドコーヒー」を開業。開かれたコミュニティづくりに取り組む。

間宮俊賢(まみやとしまさ)

2006年からカフェスローに所属していますが、それ以前の数年間、
会社勤めの傍らで地域通貨の活動に参加していた時期がありました。

その過程で、たくさんの地域通貨が希望とともに生まれ、広がり、そして遅からず壁
にあたって、つまづいて、転んで消えて行くさまを見てきました。もちろん僕自身も
散々一緒につまづいて転びました。やがて一時期の爆発的な地域通貨ブームも、夢か
ら覚めるようにして、徐々にその熱を失っていきました。

2012年、国分寺に新しい地域通貨が生まれることになり、自分に何ができるだろうと
考えながら、その頃のことをよく思い出しています。

あまりにたくさんの失敗を見てきた身として、安易に地域通貨の夢や希望を語るべき
ではないと思ってます。それは無責任だと。

でも一方で、かつて仲間たちと泣き笑いしながら分かち合ってきた地域通貨の楽しさ
や喜びは、決して嘘じゃなかった。
それを伝えることはできるんじゃないかと思います。

そして今ならわかるのですが、
大切なのは転ばないことではなく、上手に転ぶこと。
上手に転んでまたすぐ起き上がる、しなやかな強さだということ。

だって、うまくいかなくて当たり前なんですよ。
勘違いしてる人が多いけど、日本銀行券だって、別に全然うまくいってないじゃない
ですか。
ガチガチに硬直してボコボコに疲弊した日本銀行券に比べたら、何べんでも泥臭いト
ライアルができる地域通貨は幸せですよ。
いっぱい転んで、泣いて笑って、楽しくやりましょう。

齋藤弘典(さいとうひろのり)

主に鳥として生きる。映画館で働いていたが、満を持して、ヘルパー
となる。

ひょっとしたら、世界はもう九回裏二死満塁。マウンドに立つのは65億の人類。
打席には信頼の置ける四番○○主義。

地域通貨がうまくいったらの想像です。
「お金に縛られるのはごめんだね。でもあるにこしたことはない」がない。
出し抜かない。利権とかない。他より売れる商品を考え、そのために費やす膨大な時
間、その時間に支払われる対価、それによる消費とかそのシステムがない。
武器とか争いとかない。眼が眩むほどの欲望とかない。

そして、愛だけがあるような世界。
伝説の「ねぇ煮物、多くつくっちゃったから、少しどう?」や「ごめんなさい。
醤油がちょっと切れちゃって」が飛び交うようになる世界。
そんな、おせっかいな世界に住みたいと思い、この街ではじめる。

九回裏二死満塁。この時代における価値の転換。大きく振りかぶって、投げる。
天高く、鳥が飛ぶ。

羽田賀恵(はだかえ)

お金はもともと「価値と価値」を交換するただのつなぎ役であっ
たはずなのに「利子」というのもが付加されたせいで、現代では
人は「お金自体」に強い欲を感じるようになり、価値の交換に対
する感謝の気持ちが薄まってしまいました。

又、利子だけが永遠に膨らみ続けるせいで、地球に存在する資源と、お金の量は等価
ではなってしまいました。お金の膨らみに追いかけられるようにしてヒトは資源をど
んどん使いつくし地球を蝕む方向に進んでいます。

もしも利子がつかないお金があれば、人はどんどんと使い、又手元に戻り、又使い、
地域を巡っていきます。このお金は、ありがとうの言葉と同じ意味の人と人をつなぐ
お金です。血流のように、水の流れのように、地域を潤して皆を元気にするお金です。

暖かい人と人の繋がりと、貴重な歴史や資源を大事に守る国分寺という町は、地域通
貨の試みにぴったりな街だと思うのです。

高浜洋平(たかはまようへい)

これまで、世界は大きな渦をつくって、合理化して幸せになろう
としてきました。大量に生産すればコストも下がって、大量に消
費する場所に投入していけば合理的です。

反面、合理化で失った代償もとてつもないことに気付き始めました。
大量生産する場所では、環境破壊や資源枯渇など、大量消費する場所では、同じもの
ばかり食べたり着ることで、個性が失われたり健康バランスが崩れたり。おまけに生
産と消費を繋ぐなかで、運搬にかかるコストやエネルギーロスも馬鹿になりません。

これからの社会は、人間が素晴らしい技術を得て、そして、とても賢くなって、そう
したら、今度は、「懐かしい未来」のようなものを描いていくべきではないでしょうか。

それは、地域の中で、小さな渦を起こす。例えば、地域で生産した野菜をなるべく地
域で消費するということがわかりやすいと思います。それだけでなく、地域で働きた
い人が地域で働く。人の労働だけでなく優しさみたいな気持ちも。例えば、地域でつ
くった小水力とか太陽光みたいなエネルギーを、地域で消費していくとか。地域で不
要になったモノを地域の中でほかの人が再活用していくとか。

こうしていくと、大きなものに頼らないでも済む。小規模でも成立する自立型コミュ
ニティを描くことができるのではないでしょうか。地方の限界集落みたいな場所でも、
何不自由なく生活できる社会が描けるのではないでしょうか。

そうなると、混雑した都会にわざわざ住む必要もなくなり、日本の中で、自然と居住
の分散化が進むことにもつながるでしょう。

以上のように、大きな合理化の渦でとりまかれてしまった地球を、これからは、地域
の中に小さな渦(循環)をつくって、その小さな渦を、ゆるやかに横つなぎしていく
ことで、地球が構成されていく、そんな世界を目指すべきだと思っています。


その、キーとなるのが、地域通貨。地域の中に小さな渦が、色々な小さな渦がぐるぐ
る回る。そのたびに、地域通貨が、ぐるぐる回る。地域の血液みたいなもんじゃない
でしょうか。
国分寺のこの場所なら、みんなでそういう未来を描けそうな気がしています。ワクワ
クしちゃいます!

川上英里(かわかみえり)

クルミドコーヒー勤務。
好きなことは、調理する前の食材を生で食べてみること。その人か
らにじみでる話を聞くこと。つられて笑うこと。

今まで出会った人たちや人生の先輩方から教えてもらったのは、「暮らしはずっと続
いていく」ということ、「暮らしには関わることができる」ということ。地域通貨に
ついて考えるとき、この話を思い出します。

地域通貨のことは、まだあまりよく分かっていないのかもしれませんが、それが何か
を解決してくれるわけではなく、わたしたちが何かをすることができる道具なのだと
思います。道具を作るときには、どういうことをしたいのかを考えて、使い慣れるま
では、道具の改良をしたり、使い方もいろいろ試してみたりするのかもしれません。

いろいろ失敗しながらも、あきらめずに関わり続けていけるなら。いつか暮らしの体
力もついて、地域通貨を使いながらこのまちでいきいきと暮らすことも夢ではないと
思います。

山本コヲジ(やまもとこをじ)

こないだ、珈琲を飲みに行ったら、「おたくさん、好きそうだ
と思って」と絵を渡された。「おいくらですか。」「いらない
わよ。」「いえ、それじゃ額代だけでも」ごにょごにょ。後日、
皮まで食べれるおいしい桃を見つけたので、差し入れに行く。

こないだ、家路につく途中、知人とバッタリ。ちょいと話し込む。そこにもう一人追
加。そしてさらに奥さんも追加。なんだか挨拶が心地よい。

こないだ、夜中にラーメン食べに出かけたら、マンションの入り口でパトカーと5人
の警官、数人のやじ馬が倒れた人を囲っていた。「事件か!?」。覗いてみるとオネエ
ちゃんがスーパー寝ゲロ。「大丈夫ですかね」「いや、だめでしょ」やじ馬の一人と目
でやり取りをする。それ以来、日々挨拶するように。。。

こないだ、「渡したいものあるんだけど、○○本店に置いとくのでよいですか」
「あ、そこ、近いんでお願いします。」

こないだ、「この本好きそうだよね、もってっていいよ」
「まぢすか、それじゃお言葉に甘えて。」ぼそぼそ。


ファンタジー。
響きから想像するのはキラリと輝く心のほし。
それは日々のちょっとした出来事、気づかいから灯る温かさ。
小さなアクションの先に誰かの笑顔が浮かぶ。

そんなことを考えていたら、地域通貨は天気の話とか、
Nikeのロゴとかなにか地域の話題のひとつのように思えてきた。

コクブンジでは街ゆく人の挨拶数がハンパない
やたら立ち話をしている人をみかける
路上ライブの投げ銭が地域通貨
蛍に詳しいおじさんがやたら多い
歴史の話をすると止まらない人が知人で5人以上いる
世話焼きが多く、時に焼きすぎてコゲている
水をきれいにすることに余生をかけている
趣味の掘り下げ方が深すぎて変人
やたらカフェで密談が乱発している
通りすがりのひとに本を渡される
ものの使いまわし率が高すぎる
お裾わけの量で、なんとか食っていける
まじめなのか不良なのか分からない大人によく会う
こだわりが強すぎて、よく喧嘩してる
個性的なひと達の統一感がなくて、半ばカオス

そんな人たちが地域の中で密かに連携している。
地域通貨が寝ゲロのオネエちゃんのように、地域の話題としてひとをつなげていったら
よいと思う。

ファンタジーのパスが上手な人たち。
いまのアクション、活動、サービス、おもてなしが時を経て輝きだすかもしれない。
何億光年も前のひかりがいま輝いて見えるように。

1日中、ほしの輝くまちコクブンジ

徳弘晴菜(とくひろはるな)

国分寺に住んで早20年、平日は都心で働き、土日は畑で無農薬野菜
を作っています。
何もないと思っていたこの町の魅力に、数奇な運命を辿って気付かさ
れ、今ではすっかり虜です。

「ありがとう」の気持ちが色々な所に巡り巡るこの町で、人のあたたかさ、つながり、
絆に何度も助けられてきました。今度は私がこの町に「ありがとう」を返したい、そ
んな気持ちで地域通貨に取り組んでいます。

地域通貨に託されて、「ありがとう」の気持ちが循環する町、それが自然にも還ってい
く町、そんな町が実現したらどんなに素敵だろう、そう思わずにはいられません。そ
して、きっとこの町なら、それがかなうと信じています。

一歩一歩ゆ っくりと、みなさんと一緒に実現に向けて歩いていきたいと思います。

今田 順(いまだじゅん)

両親が出会った国立で、縁あって大学生活を送っており、
更に今回ご縁あって、クルミドコーヒーさんを通して
「地域通貨 ぶんじ」の取り組みに関わらせていただきました。

地域通貨に込める願いは人それぞれ

ある人は新しい経済の可能性をそこに見出し
ある人は「ありがとう」の循環を願う
そして、またある人は自分の知らなかった“国分寺”を知る道具として期待する

こんな風に、めいめいが一つの通貨に願いを込めることができる。
これこそが地域通貨の持っている希望のような気がしています。

みなさんと「地域通貨 ぶんじ」に願いを一緒に加えていけたらと思います。